もの思う壺

幸福

思いのままに生きられないことや割りきれないよろこびとかなしみや思い出と後悔をかみしめることやもう会えない会ったこともないあのひとを知ることや身代わりに流れる涙や届かない声や口惜しい焦燥やあなたが生きていることを幸福、と言うことにしました。

夢

夢の中、
私の知らない、会った事もない、これから会うこともないひとのことを考えていた。
友人と一緒にいた。
友人はその人のことを知っている。
情報は少ないけれど近しい人で
そのとき友人はその人についてなにか少しネガティヴなことを言った。

悔しい、と言った。
涙が止まらない。
悔しくない訳ないじゃん！と大きい声を出してしまった。
声を出して
目が覚めたのに
夢から醒めたのに
ぼろぼろ出てくる涙をほったらかしにして泣いた。

なにか少しネガティヴなことを言ったのは謙遜かなにか
そういった優しい都合であったと思うのだが
あたしは伝えたくて仕方なかった。
知らない人のその感情は私の感情になっていた。

オカルトみたいな話だから
勘違いみたいなものだから
恐縮だけど伝えたくて仕方なかった。

愛しているのに、
自分を表現するのはすごく難しいことなんだ。

ノーマル

いろいろなものを見せていただいて
そのせいで汚れるのかとおもったら
不感症的につよくなってゆくのかとおもったら
それは全然逆のことで
私の中の差別はみるみる潰れていった
私の中の偏見はどんどん崩れていった
曇らない視界をすこし獲得できてきた
そのこころのもしくは表情の微細を
指先でなぞるように知る
それが出来たのは私が謙虚であったからではなく
ただただ
ただただ
ただただ
ほんとうに
ひとに
恵まれてきただけのことで
私にあったものなら
直感を信じること
痛い目に遭ったとしてもあまりあるものを
裏切られたとしてもありあまるものを
感知して
それを欲しがっておそれなかったこと
そこで学べるすべてを学びたがったこと
そこで知りうるすべてを知りたがったこと
失くすものより
好奇心がほんの少し
勝っていたこと
おもいこんだら
うごかずには
いられなかったこと
すべての対話に感謝いたします
すべての行為に感謝いたします
すべての風景と匂いに感謝いたします
ありがとう
相当ラッキーなんです私
お返しできるように
おこがましいけれど少しでも
与えられるように
元気でいます
緊張感をもって
甘えないように
やさしくなれるように
努めてまいります
他人と自分とが分からなくなる
と
いう
愛

メーデー

今年は満たされていたため気づくことすらなく大人しく制作の作業に勤しんでおりましたのです。
いえ今迄もいつの年も大人しく、しかし常に勤労に身を置いて労働に勤しんでおりましたのです。

秘密

たいせつなものやことをたいせつにするためには
そのじかんやくうかんをまもるためには
ひみつがひつようです。
もったいないけれど
おしえてあげたいけれど
おしえない。
じぶんでさがしてね。
うつくしいものにはひみつがひつようです。
うつくしいものはこわれやすくうしないやすくとてもきけんです。
すなおにまっとうにけんぜんに、そしてひみつがひつようです。